サウンドデバイスのお話をする場合、求められる事を求め始めると、本質的には青天井のように追及する事が出来てしまいます。性能としてもコストとしても、どこかで何かしらの答えを打たなければなりませんが、今回はコストパフォーマンスに優れる、まだ今は多勢ではないヘッドセットを紹介致します。
強く推せるヘッドセット FIFINE Amprigame H6
パッと見た印象としては、かわいさで売ろうとしている軽いヘッドセットだろう、なんて印象を持つ方もいるかもしれない、このキュートな笑顔の描かれたデザイン。決してそんな事は無く、むしろ下手なヘッドフォンなら裸足で逃げ出すような性能を誇っています。
まずドライバーは昨今のヘッドセットではスタンダードになった50mmが採用され、その能力に不安はありません。実際、どれだけ音量を上げても全くへこたれる様子無く、装着者の耳の方がよほど心配になるレベルです(危険ですので意図的に試したりしないでください)。
また、gameの名を冠しているのにふさわしく、7.1chバーチャルサラウンドもカバーしており、主にFPSプレイヤーの方には嬉しい定位感を提供してくれます。バトルフィールドにて試用してみましたが、足音などはしっかり追う事が出来ました。
そのバーチャルサラウンドのコントロールを含めた。サウンドカード兼リモコンも当然のように備えています。ここではサラウンドのオンオフ、音量調整、マイクミュート、EQ設定が手元で可能となっています。VCプレイや配信プレイに必要な物も揃っていますね。
VC、配信が絡むとなると、マイクの性能も気になるところかと思います。さすがにスタンドを別に使うコンデンサーマイク等と並べられるとどうにもなら…なくも無い印象だったりします、真面目に。今までに他社ヘッドセットもかなりの数を使ってきましたが、話し相手からの印象としては今まででダントツでクリアに聞こえる、との事でした。価格帯としては2ランク程度上のヘッドセットもありましたが、これには一同驚いていました。何しろこのFIFINEという企業、本来の専門はマイクとの事で、その能力には相当な自信を持っているようです。商品ラインナップを見ても、最も多いのはマイクですしね。
そして何より、冒頭でもお伝えした特徴的なスマイルマークと、その周囲を囲むRGBライティングが目を引きます。ヘッドセットは都合上、プレイヤー自身は装着時にそのデザインを楽しむ事が出来ず、また目の近くに光源を置く事になるため、下手に強い光を使う事は敬遠されます。そのような制約の中で、非常に存在感をアピールしてくれるライティングデザインは、見事と言わざるを得ませんでした。
快適性に目を向けると、耳当て~ヘッドバンドまで、とても柔らくも芯のある感触で、締め付けの調整が絶妙です。割とヘッドフォンの締め付けで頭が痛くなりがちな体質ですが、5時間程度付けていても気にならなかったのには驚きでした。これに関しては、ヘッドバンドの調整幅の大きさも寄与していそうです。筆者は恥ずかしながらかなり頭が大きく、大抵ヘッドバンド調整は最大になるんですが、今回はあと2段階くらい余裕がありました。この調整幅のはありがたいですね。
また、眼鏡を愛用されている方は気になるかとおもいますが、これもまた弦当たりで痛くなることがありませんでした。試用した時期は4月と恵まれた時期だったとは言え、蒸れもほとんど感じていません。ゴアテックスですかこれは…というと流石に言い過ぎですが、それに匹敵するんじゃないかと思います。
簡易イコライザーの是非
Amprigame H6には、アジャストソフトウェアなどはありません。昨今のヘッドセットではスタンダードになりつつある、細かいEQ設定などは無く、ムービー、ゲーミング、ミュージックの3設定から選択する簡易イコライザーとなっています。
これに関しては、ネガティブな印象を持たれる方も多いでしょう。本当に自分好みのセッティングを追求していくなら、もっと細かく調整出来なければなりません。
とは言え、簡易型にも良い点はあるのではないかと考えています。
まず、手間がかかりません。3つしか無いと言われれば、その中からベストを選択するしかなく、実のところかなり高い確率で、普段使いにはそれで充分だったりするものです。そして、シーンチェンジがシンプルと言う事も挙げられるでしょう。本格的なイコライザーにもセーブアンドロードはあるかと思いますが、手元リモコンのボタン1つ押すだけでローテーション出来る手軽さは、1つの端末でゲームから動画、音楽までフレキシブルに再生する現代において、大きなメリットと言えるでしょう。
ライティングに関しても特に設定項目が無いので、少し物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に、単色ライティングを好まれる方には痛いポイントです。
固定のライティングがかなりハイレベルなデザインをしているので必要無いかな、と感じはしましたが、こればかりは好みの問題が絡んでしまうため、マイナス要素となる方がいるかと思います。
総合的コスパは超優秀 細かい課題はあり
ヘッドセットとしての能力にフォーカスを当てて見た場合、対費用効果としてはバグレベルの高さを誇っていると見て良いと感じています。
ただし、完全無欠の最強ヘッドセットかというと、そういうわけではありません。やはり、価格帯なりの手が届かなかった部分はあります。
まず多くの人が感じるであろうことに、リモコンにクリップがありません。これが意外と曲者でして、やはりある程度の重さがある物なので、フリーでぶら下がられると煩わしく感じます。洗濯ばさみなどで何とかする事は出来ますが、どうせなら格好良くクリップ付きのリモコンだとありがたかったな、と思うところはありました。
マイクミュートのインジケーターに違和感がある、という点も挙げられました。そもそも、マイクにミュートしているかどうかの判断が付くLEDが搭載されていても、使用者は視認できないよなぁというのが正直なところです。周囲にマイクOFFアピールする場面はあまりない気がするんですね。加えて、感覚的には『マイクOFF機能がONですよ』という事だと思うんですが、LEDが『点灯でミュート』、LEDが『消灯で通っている』表示なので、ここは個人の感覚も絡みますが、いまいちわかりにくい気がします。いっそ、緑でマイクON、赤でマイクOFF、とかの方が分かりやすかったのかもしれませんね。
そして地味に気になったのが、ライティングの演出の一環かと思われるんですが、耳の上部辺りに光を通す穴が数個空いています。これが、ライティングとしては文句無しに格好良いんですが、音の面でいくとわずかに音を漏らしているように感じました。カテゴリーとしては密閉型ヘッドセットになるので、気になる方は気になるかもしれません。実際のところは大した音漏れでは無いんですが、神経質な方の場合一度気にし始めると…と言った懸念にはなるかもしれません。
トータルで見れば、とてもじゃないですがこの価格で購入出来るようなヘッドセットとは思えません。何か人と違うガジェットが使いたい、初めて買うから、価格は抑えつつ失敗の無い物を選びたい、という方であれば、間違いないヘッドセットです。
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